百草園の静かな裏庭 | ちょうど梅の季節 |
『モーツアルト 天才の秘密』(文春新書)の刊行を機に 少なくとも人類史上モーツアルトに匹敵する才能を持つものが、少なくとも数百人はいたはずだけど、その人たちはモーツアルトになれなかった。なぜか。彼の環境にあるようだ。その頃成功した人たちは、傭い主で、音楽のためにお金を払ってくれる当時唯一の聴き手である貴族階級の趣味嗜好に適応した商品、つまり作品を作って供給していれば生涯安泰だった。でもモーツアルトは彼らとちがって就職できなかったので次々と新しい試みをしていかなければならなかったんじゃないか。逆にもし彼がウイーンの宮廷楽長にでもなっていたら通俗的な曲しか書かなくなっていたかもしれない。その危険性は大いにあってよくてハイドン程度で終わっていたかもしれない。また教育としても、モーツアルトが受けた教育課程を辿ってみると最先端の脳科学者が唱えている理想の教育パターンにほぼ近いとのこと。ゲーテや小林秀雄は、生まれた時からモーツアルトは作曲の才能を持ち合わせていたかのように書いているけれど、まったくの間違いです。学習能力のある子供が、理想的な教育を受けるとこうなるという、典型的な例が「天才モーツアルト」なのです。 と、逆サイドからモーツアルト賛美をしていた。面白い冊子だな。 |