この見飽きない壁面の模様は、棒で浮かせられていた。空気が間に入り込むんだ。 今回東京文化会館に初めて入ったわけだけどここは『音楽』にも書かれているとおり、ほどよい大きさで、本当にいい音だった。ただいい音だった。特徴という特徴はないほどに自然。部屋の形と大きさがかなり多くを占めるのかな。それ以外の要素は気休めにすら思えた。東京芸術劇場すら雑味があると思った。 この日はブルックナーのロマンティックを聴きに来た。ステレオ装置で聴きあきているけれど3F席の左は迫力あって再度たのしめた。かなりストレートにきた。自然や神性の賛美となる音楽。心からあだっぽさが失せてくると音楽も虚飾のないほうがいいようになる。最近は歳をとったからか情念を鼓舞するような音楽は聴けなくなってきた。ラヴェルとか坂本龍一は品格があるけど、いかにもメロディアスでいかにも感傷的な響きを廃していくと、音楽はどこにいくんだろう。なんて妄想が出てくるうちは、まだ鑑賞の仕方が甘いかな。『ロマンティック』というがブルックナーの音楽はほどよかった。落ち着いた。 |